旅立ち
昨日、JAHA(公益社団法人 日本動物病院福祉協会)主催
IAHAIO会長 レベッカ・ジョンソン先生来日記念講演を聴きに行ってきました
レベッカ・ジョンソン先生が所属されているミズーリ大学シンクレア看護学校では、
ペットと暮らすことを推奨し、様々な介護サービスも受けることのできる高齢者の集合住宅
「タイガープレイス」を設立しました
人と動物の相互作用についての研究は、近年研究が進んできた分野ですが、
研究とまで行かなくても、日々動物達から多くの恩恵をうけている事を
実感していらっしゃる方も多いと思います
動物病院で働く私達は、動物達を助ける一方で助けられている部分も大きいです
先週後半から病院猫のヤワちゃんが旅立ちの時を迎えつつありました
平成2年7月に開院した動物医療センターとほぼ同じ年数、動物医療センターで過ごしたヤワちゃんは、 いつも病院の奥の方のお部屋にいました
20年近くの間毎日出入りする動物達を眺めたり、スタッフ同士のナイショの話を聞いたり、人知れず流された涙を黙って見守ってきた事でしょう
私も気持ちの整理がつかないような時は、ヤワちゃん達のところへ行って癒されたり、元気をもらったりしたこともありました
そんなヤワちゃんが立ち上がることもできず、食餌もお水もトイレも人の手が必要になり、
日が経つにつれて小さくなって、眠っているのか起きているのかも分からなくなってきました
明け方になると体温が下がってしまうので、最後の数日は夜中に交代で見回りに行きました
見回りの3日目を迎えた日は翌日(19日)が動物看護職の統一試験が行われる予定で、
受験を控えた看護士達は見回りに行くのはちょっと大変に思われる日でした
するとなぜかヤワちゃんは前日よりもシャキッとして、顔をあげて人を呼んだり、
何かをねだるようなしぐさを見せるようになりました
この様子なら今夜は大丈夫だねということになり、看護士さん達も安心して試験に出かけましたが、
試験が終わって病院から届いたメールには・・・
ヤワちゃんがその日の朝亡くなったことと、試験前に悲しませないようにと、終わってからの連絡にしたことが書かれていました
部屋から出て日向ぼっこをしてると(以前一緒にいた)犬のチュンチュンにふんづけられたり、
ピンク色の縄跳びの縄を恐がってそれまで見たこともないような速さで逃げていったり、
みんなが仕事中に奥の部屋から呼ぶので、「なぁに?」と行ってみると「別に呼んでませんけど?」ととぼけてみたり・・・
不自由な体に負けず生きてきたヤワちゃんは、世話をしてくれた看護士さん達が無事に試験を受けに出かけるのを見届けて、旅立って行きました。
帰り道、思い出の一つ一つに涙があふれてはこぼれ、最後までみんなに心配をかけないように
精一杯頑張ってくれたヤワちゃんに「ありがとう」の気持ちでいっぱいでした
私達大久保動物病院のスタッフは、日々人と動物の絆を大切にした動物医療を行うことを心がけていますが、ヤワちゃんに負けないようにより一層の努力をしてまいります